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Toward the future

ソフトウェアを作るということ

私たち、ソフトウェアを手がける者の使命として、未来の一部を築き上げる事はもちろんの事、便利性や
使い勝手にもこだわり、人に優しいインターフェースで、生活しやすい環境を作りたい。
人と人、会社と会社が交差する中にソフトウェアでできる事がある。

OSの移り変わりと共に

人類の進化に伴い言語の発達や生活の向上があるように、ソフトウェアも徐々に進化して行きます。
OS(オペレーション・システム)の登場は、マイコン、ミニコンを経て、OSという概念ができあがり、DOS
(ディスク・オペレーション・システム)へと発展する事で、コンピューター環境は大きく変化し、ソフトウェアの重要性の
比率が大きくなり始めた。
そして、文字ベースのOSはGUIへと進化し、誰もが使えるツールとなり急速に浸透した。
そんな中、ソフトウェア開発者は、開発言語やOSの進化に合わせて環境を変えながら現在も歩き続けている。
今後の環境の変化に期待しながら、新しいものを受け入れる準備をしていくのだろう。
より良い物を、より多くの人に。

ハードを追い越せソフトウェア

ちょっと前のこと、マシンスペックの乏しさはソフトウェアがカバーしていた。
できるだけ早いコード、効率の良いコードを書く事も、開発者に課される項目のひとつだった。
プログラムサイズにも制限がある事もあり、その昔、1k3万円程度で50kbまで膨れ上がってしまったプログラムを
32kのROMに入るようにする、なんて仕事もあるほど、ハードウェアの制限はソフトウェアに大きな影響を与えた。
現在ではCPU速度も上がり、吐き出される結果を重視するようになってきた。媒体もハードディスクや光ディスク
なので、ほぼ無限のサイズであり、多少無駄なコードを通っても、見やすく、構造的になっていれば、速度は問題ない。
ソフトウェアで補っていたものが、ハードウェアで補えるようになったのだ。
ある意味、やっとソフトウェアに追いついたのかもしれない。

次世代を考える

なんとなく最先端な職業なので、とりあえず最先端な情報も入ってくるし、携わったりもする。
街でDVDに書き込みができた頃、現在でも次世代と呼べるブルーレイ関連の開発をしていた。
今までの赤色レーザーから、青色の波長の短いレーザーで、より細かい情報を識別できるのがブルーレイだ。
理論的には、波長の長い(太い)レーザーよりも、短いレーザーを使えば、細かくできる事は想像がつく。
だが、ミクロン単位だったものが、ナノ単位の世界になるという事は、想像以上の事なのだ。
ここで、開発中のエピソードをひとつ。
読み取りはミクロン単位で構わないのだが、開発したのは書き込み機、ブルーレイのマスターディスクを作る装置。
重さは数トンはあるであろう装置の上に、電子銃が大砲の如く吊るしてある。まさに戦車のような物体だ。
読み取りは多少の誤差があっても補正技術でどうにかなるが、書き込む時はできるだけ正確でなければならない。
もはやレーザーで書き込めるレベルを超えているのだ。
窒素の中で待ち受ける生ディスクを正確に回転させ、上から真空の中を通った電子が飛んできてディスクを切るのだ。
30分程度の書き込みの間、そーっと歩き、咳払いもできず、社内放送も聞こえないようにした一室で、切り終わる
のを待つ。
できあがったディスクは、定着をし、電子顕微鏡で精度を測る。1回のテストに2時間くらいかかるのだ。
不合格を何度も繰り返し、なかなか解決できなかったズレの問題は、結局ノイズの影響だとか。
世間がDVDを4倍速で焼けるようになった頃の話である。
同じような装置は世界に3つあり、1つは天下のSONY、もう一つは海外企業なのだが、開発費がかさんだためか、
倒産してしまった。
結局、外販された機種は、世界でこの機種だけとなり無地に納品し検収となった。
硬く書くとこのままだが、実際にはくしゃみをして数時間がパーになってしまったり、切ってる最中に部屋に人が
入ってきたりと、笑えるエピソードもある、なかなか賑やかな現場だった。
CPUや画像チップ、家電に携帯と、さまざまな最先端技術がある中、その一つに携われた事は非情に有意義な事だ。

旧世代カラオケ

通信カラオケが世に出る前は、カラオケといえばレーザーカラオケだった。
その名の通り、カラオケ用のLDを流しているだけなのだが、曲と曲にどうしても間が生じてしまう。 LDならではの問題だが、カラオケか流行り始めた頃は、皆この間におしゃべりをしたものだ。
その頃、ある大手ブランドのカラオケ機を作る事になったのだが、なかなか画期的な機能がある商品だ。
まずは通常ジュークボックスのような本体には、150枚〜300枚程度のLDが並んでおり、LD再生機に出し入れする
アームとエレベーターが付いている。
曲と曲の間は、再生後のLDをアームが取り出し、元の位置に戻し、次曲の入ったLDを取りに行き、再生機へ入れる。
そしてLDのシーク、これがまた長い。結局次の曲が始まるまで1分近くかかるのが普通だった。
これを、再生機を2台にする事で解決した。
演奏中に、次曲のLDを2台目の再生機に入れ、シークし、ポーズ状態にしておき、演奏が終わったら、モニタ出力を
2台目の装置に切り替える、これで曲間をほぼ0秒にする事ができたのだ。
できてしまえばあたりまえのような事なのだが、最初に考えた人は素直にすごいなぁと思った。

このシリーズで、もう一台。今度は通信カラオケを作った。
通信カラオケといっても、今のようなカラオケではない。カラオケボックスが流行りだし、1台100万以上するカラオケ機を
部屋の数だけ入れるのは大変で、LDソフト自体も同じ物を買う必要がある。
なんとかならないか、との事から考えられたアイデアで、今思うと大胆な発想である。
ふた周りほど大きなカラオケ機に、なんと6台の再生機を詰め込み、1台がマスター機、他の5台がスレーブ機として
動作する。ネットワークもあまり使われない時代だったため、8本の通信用信用線と、2本の制御用信号線を使い、
マスタースレーブ通信を6台が行うものだった。
スレーブは小さな本体とリモコンだけで操作する。たまたまマスターの置いてある部屋に入ると、異様なでかさに驚く
人もいたという代物だ。
LDも6部屋で1台なため、再生中のLDが他の部屋でリクエストされても、終わるまでは後回しにされ、その次の
曲がかかるようになっている。当然6部屋全部が同じLDの曲をリクエストした場合も考慮しなくてはならない。
6台の通信と優先順位の管理、他で使用中のLD内の曲しかリクエストしていない場合のメッセージ。
結構細かい問題が多い装置だった。
今は全てネットワーク、しかもLANでの通信なので通信自体はパッケージで済むし、OSを積めばほとんどのインター
フェースはAPIとして提供されている。うらやましい環境である。

野球拳ゲーム

これは・・・、一時期ゲームセンターで大ヒットした商品なので、皆さんも見たこと、やった事がある方も多いはずだ。
そう、AV女優とジャンケンをし、勝つと着ている服を一枚づつ脱いでいく。
5回位勝つと、カプセルが景品として出てくるゲーム機だ。
1ゲーム300円くらいだったのに、かなりの人気で、何シリーズも続いたヒット商品だ。
私が行ったのは最後のシリーズ数作で、プログラム自体は既に出来上がっている。
では、何をする仕事かと言うと・・・
AV女優のジャンケンLDが手渡される、そのLDには撮り下ろしたAV女優のジャンケン映像が入っているのだ。
AV女優7〜8人、着ている枚数5パターン、ジャンケン3種類、勝った時の映像、おまけ映像など、全ての位置を
LDプレーヤーで見て、書き留める。
Aという女優が3枚脱がされてパーを出すのは、何分何秒から何分何秒まで、といった具合だ。
これを、プログラムに入れていくのだ。
ジャンケンの勝率などは、ディップスイッチで設定できるが、他は女優が変わるだけで変化はない。
ソフトウェアと言えるのかどうかはさておき、300円払わずに全てを見る事ができる特権だが、2度目に仕事を
頂いた時には、もう見るのもうんざりという感じた。
内部に興味がある方に一つお教えしましょう、あの黒いゲーム機本体の中は、ほとんど空洞で、モニターの下には
LD再生機とMSXが入っている。あとは景品のカプセルだけとゆうシンプルな作りだ。

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